あなたの徒然なるままに。

フィクション少々

ナチュラリー

例の大雨、私の住まいの近辺にはほとんど何も爪痕を残さず過ぎ去っていってくれました。

しかし、自転車の練習コースである山の中であったり、そこに至るまでの住宅地の状況を調べると、驚くような被害がありました。職場の工場も、至る所で冠水などしていました。

それから数日が経った今日も、携帯の警報が鳴りました。

 

いま、私個人は何も困っていません。そして私は、今回被害を受けた方々になんの支援もしていません。私は私のために日常を過ごしています。おらおら自転車乗ったり、あくせく仕事したり、吐くまでご飯食べたり、必死に寝たり。いや、毎日大変。

 

雨が降り止まない七夕の次の日。

あの分厚い雲にしては明るかったので昼間だったでしょうか。なんとなく身体が重い私は寝たりしていました。

外で鳥の声がするので、やっと雨が上がったのかとカーテンを開けばすごい雨。空耳かと思ったらそうではなく、ベランダにツバメのヒナがとまっていたのでした。それはヒナと呼ぶには申し訳ないほど限りなく大人で、部屋から覗く私に背を向けていました。

はじめ私は、巣から飛び出したヒナが、この雨で帰れなくなってしまったのかと思いました。

しばらく覗いていると、それは私に気づき、ベランダから飛んでいってしまいました。強い雨に打たれても必死に、でも危なげなく。

雨の中ベランダまで飛んできたのは非常事態ではありませんでした。

 

こういうことがあるといつも、どこかいたたまれなさであったり責任じみた感覚を覚えます。

でも、それを目にして、これでいいんだと思えました。今日言いたかったことはそういうことでした。